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窯元のご紹介  Vol.1 宮城県 末家焼

今から300年前の元禄時代、亘理伊達家の御庭焼として始まった、亘理町伝統の末家焼の器について、窯元である、加藤 文夫さん、ひろ子さんご夫妻に、お話を伺いました。

末家焼との出会い

末家焼ひろ窯の当主、加藤 文夫さん。1985年に四度目の挑戦として
末家焼を始めた。

故郷の器を復興する、四度目の挑戦。

末家焼との出会い

文夫さん亘理伊達家(わたりだてけ)の御庭焼(おにわやき)として始まった末家焼(ばっけやき)は、文化文政時代に隆盛を極めました。しかし、戊辰戦争での敗北により、製法が書いてある「統合伝書」を燃やし、窯も壊し、一度、歴史から消えてしまいます。

その後も、復興や廃窯(はいよう)を繰り返す運命を辿ってきましたが、1985年に私たちが四度目の挑戦として末家焼を始めました。妻が京都で勉強し、地元の亘理に末家焼があるという話を聞いたことがきっかけです。

末家焼ひろ窯、加藤 ひろ子さん。地元では“幻の器”となっていた
末家焼を夫と共に復興させた。

地元のご出身なのですか?

ひろ子さんはい。私は亘理出身ですが、大きくなるまで、末家焼の存在を知りませんでした。大学の頃、自分の故郷に末家焼という器があることを初めて知り、興味を持ちました。

郷土の文献を調べ、昔の末家と言われた土地が、亘理町の一地区である先達前(せんだつまえ)であることも知りました。
まずは土を探して堀り、寝かせた後、形成したら形になり、「いける!」と思いました。大学でも陶芸の卒論を書き、末家焼のルーツである岡山の備前焼や京都の清水焼など、色んな地を巡り強もしました。

末家焼は廃窯と復興を繰り返してきましたが、茶の湯に使われていた由緒正しい器です。地元でもあるし、もう一度復興させたいという想いがありました。

器の絵は、野の草花がテーマ。ありのままの自然
の姿を、力強く表現するのが特徴。

器として、どんな風合いが特徴なのですか?

ひろ子さん私たちが作る末家焼の風合いは、御庭焼きだった頃を完全に再現しているわけではありません。
私は、絵描きになりたいと思っていたのですが、末家焼と出会い、陶芸の道を選びました。しかし、陶芸を絵画と結び付けたいと考え、器に華やかな絵を組み合わせています。

器の絵は、野の草花をテーマとしています。野の花は、道端で誰の目にも触れる花ですが、力強く、同じ土から生まれる器に表現するものとして相性も良いです。
花瓶の花よりも、自然に、ありのままにある花のほうが心打たれる、そう思って創作しています。

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プロジェクトへの参加

窯も海水に浸かって駄目になり、末家焼が過去に
辿ってきた、廃窯という運命が頭をよぎった。

たくさんの支援を受け、ゼロからのスタート。

プロジェクトに参加するまでは、どのような状況でしたか?

文夫さん私たちは震災で全てを失いました。被害が大きく、がれきの片付けは翌年までかかりました。作業場や窯も津波で沈み、道具も流されてしまい、「また末家焼が辿ってきた廃窯の運命なのか…」という考えが頭をよぎりました。

2013年の初めに、京都からの支援で窯をいただいたのですが、寒冷地向きではなく試行錯誤をしていたところ、AGFさんから支援のお話を伺い、立ち上げ式にこぎつけることができました。

2013年の火入れ式の写真や、新聞記事が飾られており、これを
見ると、今でも勇気づけられるという。

支援された方々への思いを教えてください。

ひろ子さんボランティアの方に遠方のヘドロの中から、土を練る土練機(どれんき)を引き上げてもらったのですが、海水に浸かっていたせいで腐食してしまいました。今は手と足で、土を揉んでいます。
また、末家の土も流されてしまいました。幸い陶芸教室用の土が流されずに済んだので、今はそちらを使っています。

そんな中でも嬉しかったことは、地元の新聞やテレビに取り上げられ、応援の声や道具を譲っていただくなど、たくさんの方から支援を頂戴したことです。

創作に向かう意欲も、震災前とは全く違い、感謝の気持ちがとても強い
という。

たくさんの方から、元気をもらったのですね。

文夫さん震災後はボランティアの方々に助けられ、今は、AGFさんの支援によって立ち直ろうとしています。当時は名前も名乗らず、支援していただいた方もおりました。

今は、そんな皆様への恩返しという意識が非常に強い。器を作るときの気持ちも、震災前と全然違います。ろくろを回していても、絵筆を持っていても、色んな人の力があって成り立っていると感じています。

新しい窯で焼いた器の披露を兼ねたお茶会を2013年
11月13日に開催。支援をしてきた方々などが出席し、新作
の器でカフェオレやスイーツを楽しんだ。

お茶会での思い出を教えてください。

文夫さん2013年に、プロジェクトでひろ窯を取り上げたいとの連絡をいただきました。実は、少し弱気になっていたのですが、立ち上げ式やお茶会を通して、たえず前向きな気持ちをいただき、1985年、亘理で独立して始めたときの強い想いが蘇ってきました。

1からのスタートではない。全て流されたので、0からのスタートです。でも、前向きにやっていれば、励まされたり支援されることだってある。後ろ向きだと、そういうことも逃げていく。それを感じたのが、2013年の一連の行事でした。

お茶会は、寒冷地対策が施された“復興の窯”で作った
最初の器の、お披露目の場にもなった。

お茶会には、どんな方をお呼びしたのですか?

ひろ子さんがれきの撤去を手伝っていただいた方を中心に、ご縁のある方をお呼びしました。カップにコーヒーを淹れたり、お皿にパティシエさんが作ったスイーツを載せて提供してくれたり…。
AGFさんの力を借り、皆様に少しだけ恩返しができました。お茶会の後、励ましのメールや電話を頂戴したことも嬉しかったです。

 

文夫さんお茶会の器は、復興の窯で作った最初の器で、私たちにも記念に残るイベントでした。器はそのままお客さまにお持ち帰りいただいたのですが、記念の器を差し上げることができたのは、とても嬉しかった。今でも思い出します。

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お分けする器のテーマ

復興の意味を込め、被災地に大輪の花を咲かせたい
想いから、牡丹の花を選んだ。

お客さまに育ててもらえる、くつろぎの器。
そして、被災地に大輪の花を。

今回お分けする器には、
どんなテーマや絵柄をお考えですか?

文夫さん形としては、持ちやすさといった使用感も含め、これまで二人で話し合ったことが無いくらい話し合いました。
器のテーマは「くつろぎの時間を、器を通して使う人に感じてもらうこと」。震災から時間も経ちますが、器を使うことで作家の気持ちを分かってもらえるようにと考えています。

ひろ子さんお分けする器は、コーヒーカップ&ソーサーです。メインの絵柄は牡丹の花にしようと思っています。牡丹はおめでたい花。縁起のいい吉祥文様(きっしょうもんよう)です。

復興の意味を込め、被災地に大輪の花を咲かせたいとの想いで、牡丹の花をあしらいます。夫は形成の担当で、私は絵付け担当です。

使われることで、いい色に変化する末家焼。“育っていく器”を
感じて欲しい。

どんなシーンで使ってもらいたいとお考えですか?

文夫さん例えば、ソーサーはケーキを置くお皿に。カップはサラダやスープ、シャーベットなどのデザートも入るような、少し口が広がったものを考えました。コーヒーを楽しむ以外にも、食卓でくつろぎの時間を演出する器です。

ひろ子さん末家の土から生まれた器は、ビールなどの泡が細かく立つ特徴があります。さらに、使い込むといい色に変化する。それを引き出すべく、形や仕上げも考えています。お客さまに使われて育っていく末家焼を、感じて欲しいと思っています。

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器ができるまで

生化粧をする工程。器にかける白い泥は、絵付けのための
キャンバスだという。

時間をかけて芯まで焼く。
丈夫で割れにくい器。

器ができるまでの工程を教えてください。

文夫さん亘理町の先達前から土を採り、3年ほど寝かせた後、ろくろで成形をして乾かします。それからカンナで削って整え、生化粧として白い泥をかけ、さらに一週間ほど乾かしてから、780度で15時間、素焼きをします。焼き終えたら同じく15時間冷ましてから、窯出しをします。

ひろ子さん生化粧の白い泥は、絵付けのための白いキャンバスです。土の上に絵付けしても発色が冴えないので、土に合った生化粧を施します。絵付けをし、上薬を塗って窯に入れ、最大1250度で20時間焼き、やはり同じ時間冷やしてから窯出しをします。

さらに、種類や用途によっては、白や赤、金などの極彩色を上塗りします。極彩色を取り入れるのは、私の絵付けの特徴でもあるのでが、色によって溶ける温度が違うので、色数のぶん、窯に入れる回数も多くなります。ただし、金などの極彩色の色付けは、焼き付け専用の電気窯が流されてしまい、今はまだできない状況です。

末家の土は粒子が細かく扱いが難しい。しかし、芯まで焼く
ので、とても丈夫な器ができる。

すいぶん長い時間、焼かれるのですね。

文夫さん末家焼は成形から焼き上げまでの収縮率が高く、乾燥に弱い。これは土の性質で、末家の土は粒子が細かいのです。そのため普通なら15時間も焼かず、その半分程度なのですが、急熱急冷に弱いので、窯出しまで時間がかかります。

しかし、時間をかけて芯までしっかり焼くので、陶器の割に丈夫なのです。震災のとき、床に落ちても末家焼は1つも割れなかったというお話もいただきました(笑)。
また、陶器は普通、指で叩くと鈍い音がするのですが、末家焼は芯まで焼くので、金属のような高い音がします。

末家の印は、二人の共作である証。今回の器にも、全て
末家の印が押される。

末家焼としての証や、生産できる個数などは?

文夫さん今回の器には末家の印を押しています。個人の作品としての印もありますが、末家の印が押してあるものは二人の共作です。

ひろ子さん器づくりの難易度は季節でも変わります。震災前は断熱できる棚や暗室があったのですが、今は無いので、乾燥や器の水分が凍結する冬場は難しいです。震災で更地が増えて風が通るようになったので、強風のため外に干せない日もあります。

昔は100、200作ることも簡単にできたのですが、今は1か月で50程度です。ここは何とか工夫しなければと思っています。

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皆様へのメッセージ

陶器は洋服と一緒という考えのもと、日本人の
美的感性を意識している。

想いをこめて作る器を通して、交流をしたい。

器を使っていただくうえで、
意識していることはありますか?

ひろ子さん陶器は洋服と一緒であると考えています。3月なら、ふきのとうを入れる器を作るなど、日本人は季節感を大事にしてきました。末家焼の器も、同じ形や口径、高さでも、季節によって深さや厚みを微妙に変えています。

夏場なら浅く広がって熱を放出する涼しそうな器。冬場なら厚手で中に熱がこもるように作るなど、おもてなしとして、使う人が季節に合った器を選んで出せるように、作り手としても、日本人の美的感性を意識しています。

牡丹は5月の花でありながら、年中使っても良い、
おめでたい花。

今回の器に合った季節などはありますか?

ひろ子さん牡丹は5月の花です。お分けする予定の季節を意識しています。器の厚さも、厚すぎず、薄すぎず。さらに、牡丹はおめでたい花なので、年中使っても良い柄です。

器の使い方としては、特別なものではなく、普段使いをしてもらいつつも、手間ではありますが、手洗いをして乾燥させてもらいたいです。

言葉ではなく、器によって作り手と使い手の目に見えない交流をしたい。

皆様へ、これからの意気込みを
お聞かせください。

文夫さん手作りの器は、非常に贅沢なものだと思っています。手作りにしか醸し出せない雰囲気や良さがある。それを購入していただくことで、お客さまと器との歴史が作られるのだと思います。
さらに、器を通して、これは亘理の加藤さんの器なんだ、と少しでも思い出していただければ、作り手と使い手の目に見えない交流ができると思っています。

1つひとつ違う手作りの器を通して、作家としての自分の人生を見て
いただきたい。

器を通した交流ですね。

ひろ子さん陶芸を30年以上続けるなかで、自分らしさを見つけてきた私としては、器を通して、自分の人生を見ていただけるような関係を築きたいです。1つひとつ手作りなので、同じ絵を描いていても、違ったように見えるときもあります。器は所有した人だけのものだから、1対1にこだわりたい。それをどう感じていただくかは、使って感じてもらいたいと思います。

また、牡丹一輪を描いていくなかで、これからの自分も変わっていく気がしています。花びらの一枚一枚に、今の想いと、感謝の気持ちを込めて描きます。

器の販売は終了しました。ご支援いただき、ありがとうございました!

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