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窯元のご紹介  Vol.4 福島県 会津本郷焼 宗像窯

福島県大沼郡会津美里町(ふくしまけん おおぬまぐん あいづみさとまち)で享保四年(1719年)より続く、会津本郷焼 宗像窯(あいづほんごうやき むなかたがま)について、窯元で八代目当主の宗像 利浩(むなかた としひろ)さんと、息子で次期九代目の利訓(としのり)さんにお話を伺いました。

会津本郷焼を受け継ぐ

享保四年(1719年)より続く会津本郷焼 宗像窯の八代目当主である
宗像利浩さん。

約400年の歴史を誇る会津本郷焼。

会津本郷焼 宗像窯の歴史を教えてください。

利浩さん宗像窯の先祖である宗像出雲守式部は、福岡県宗像大社の神主をしており、布教のため767年(奈良時代)に会津へやってきました。最初は神主をしていたのですが、享保四年(1719年)頃から生計を維持するために陶器を作り始め、100年程経った後、焼き物に秀でた八郎秀延が神官を辞して陶業に専念し初代となり、私で八代目、そして息子の利訓(としのり)が九代目となります。また、近年は東大寺に抹茶碗を奉納するなど茶陶の美を備えた作品造りにも取り組んでいます。

次期九代目の宗像利訓さん。父である利浩さんと共に会津本郷焼 宗像窯の
歴史を受け継ぐ。

地元ではどのように親しまれているのですか?

利訓さん主に生活に根ざした食器として親しまれてきました。会津本郷焼は昔から、風土から生まれた郷土の器として使われているので、古くからあるお宅に伺うと非常に年季の入った「にしん鉢」などの古い陶器に出会うことがあります。
宗像窯では、代々受け継がれてきた飴色に輝く飴釉(あめゆう)や白色を基本とした白釉(しろゆう)の釉薬が基本となり、独特の風合いを醸し出しています。

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プロジェクトへの参加

AGFが修復支援をした登り窯。江戸中期に造られ、全長20メートル、
幅5メートル。東北で使われている登り窯としては最古で町指定の
文化財でもある。

被災による登り窯の破損と、
その後の支援。

震災時の被災状況は、
どのようなものだったのですか?

利訓さん震災のときには会津でも非常に大きな揺れがあって驚きましたが、家が崩れるなどは無かったので、ひと安心しました。しかし、登り窯が心配になり見に行ったら大きく崩れており、これまでに見たことのない酷い光景でした。修復には時間もお金もかかるので、当初は自分の代をかけて直すことができればと考えており、そのため、登り窯は一年近く何の目途も立たない状況でしたが、以前から親交のある方々が有志を募り、「宗像窯登り窯再生プロジェクト」を立ち上げてくださり、AGFさんをはじめ、多くの皆様からご支援をいただき、震災から一年後の2012年には修復することができました。

震災当時の写真。七つの窯が連なる登り窯(会津美里町指定文化財)
の前方部分が、特に大きな被害を受けた。

プロジェクトに参加して、
以前と変わったことはありましたか?

利浩さんプロジェクトに参加したおかげで、新しい風が吹いてきたと感じています。例えば、個展の会場をはじめ、色んな場所で声を掛けていただき、うちに登り窯があることが知れ渡り、私たちにとっては当たり前だった登り窯の素晴らしさを再認識しました。また、私たちの作品を見たいという人も増え、プロジェクトに参加しなければ無かったであろう、人との出会いがたくさん生まれました。現在も多くの方々と出会い、その声に励まされています。

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会津本郷焼ができるまで

ろくろを使い粘土を延ばす利浩さん。
下から上へ、飲み口となる部分まで、非常に高い
集中力で製作に臨む。

全国でも稀な製法で生み出される。

宗像窯の土の特性と製法を教えてください。

利訓さん私たちは、かつて弓を射る場所だった国指定の山城のある白鳳山から採れる的場陶土(まとばとうど)という粘土を使っています。その粘土をろくろで成形し、2日ほど乾燥させてから脚の部分である高台(こうだい)を作るのですが、成形した高台を削るときは刃が朴(ほお)の木でできている木製のカンナを使います。的場陶土は程良い砂気と鉄分を含んだ少し荒めの土です。そうした粘土をざっくり削るだけなら鉄製のカンナでも良いのですが、しっかりと仕上げるには木のカンナのほうが削ったところも柔らかいですね。木製のカンナを使っているところは全国でもあまりないと思います。

乾燥後に素焼きをせずに施釉(せゆう)する。的場陶土で作る陶器
は、素焼きの工程を挟まなくても型崩れするリスクは少ないという。

他にも工程の中で、特徴的なものはありますか?

利浩さんそうですね。高台を作った後は、全体が白くなるまで乾燥させ、素焼きをせずに釉薬(ゆうやく)を掛けてから焼く「生掛け焼成(なまがけしょうせい)」という方法で陶器を作ります。素焼きをせずに釉薬を掛けて焼くと形が崩れる場合が多いのですが、私たちの粘土は、生掛けも可能な良質の粘土です。しかし、そのために釉掛けや焼成にはより神経を使います。普段からこういった製法を取り入れている窯元も、全国では非常に少ないはずです。

生掛け焼成の製法で作る陶器は、土味を感じる風合いとなるため、
特に茶器との相性が良い。

陶器を作る上で気を遣う点はどこですか?

利訓さん乾燥具合の調整は昔よりは楽になりましたが、やはり今でも気を遣います。会津は盆地で夏は暑く、冬は寒い気候です。また、雨の多い時期は土が乾かず、夏場は乾燥し過ぎたりします。そのため、外気の入らない室(むろ)に入れて乾燥の度合いを調整しています。温度や湿度の管理は大変ですが、やはり乾燥に手間をかけて生掛け焼成にしたほうが、陶器としての味わいが出やすく土味を感じることができるので、コーヒーカップなどの茶器とは相性が良いですね。

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お分けする陶器のテーマ

今回お分けするコーヒーカップ&ソーサーとマグカップ。
「香り」を意識して欲しいという思いを込めて作られている。

香りをテーマに、
リラックスできる陶器を。

製作する陶器の種類とテーマを教えてください。

利浩さん今回製作する陶器はコーヒーカップとソーサー。それと、大きめのマグカップです。コーヒーは味も大事ですが、味わう手前の香りも重要です。そこで「香り」をテーマに作り手のメッセージとして、繊細な香りを感じとっていただくため、口の部分には特に注力しています。陶器はろくろで形成する際に、下から上に粘土を延ばしていきます。これは作り手の意識の話なのですが、上まで延ばして形ができると思わず一息ついてしまい、集中力も弱まります。しかし、ぎりぎりまで集中力と緊張感を高めたものは器に力がこもり、五感に訴えかけてきます。それにより、繊細な香りを感じとりやすくなるのです。

同じく土から生まれ、乾燥や焼きなど工程にも似た
部分がある陶器とコーヒー。それらが融合すれば、
リラックスした雰囲気をより楽しめる。

香りを楽しめると、リラックスした気分になれますよね。

利訓さん私はカフェによく行くのですが、カフェには雰囲気や空間を楽しみながらコーヒーを味わうという文化的側面もあります。コーヒーを飲んでリラックスしたいときは、カップを手に取り、香りと共に雰囲気も楽しむ。さらに、土もの(陶器)には独特の柔らかさがあり、持ったときに手のひらにゆっくりと温かさが伝わり、保温性もあるので、そうした特長もゆったりできる要素だと考えています。また、コーヒーを作る際には、土に種を植えて木となり花が咲き、その実を採って乾燥させ、粒を選んで焼きます。これは同じく土を乾燥させ焼き上げる陶器と似ており、それらが融合すればリラックスできる雰囲気を、より楽しめるのではないかと思っています。

ギャラリーに展示してあるワインカップ。マグカップの製作には、
こうした作品を製作したときの知識や経験も生かされている。

他にコーヒーとの相性を
考えた工夫はありますか?

利浩さんマグカップのほうは、器の中の曲線がワイングラスのようなカーブを意識し、たっぷりと入る丸さもありながら、シャープさを出しています。深さも普段作っているものよりも若干深めです。カップの口の部分は厚すぎず、薄すぎず、口を当てたときの感触を大事にしています。色味についても、コーヒーの色を引き出しやすい白を基調としております。また、持ったときの感覚にも気を遣っています。重すぎても使いづらいし、逆に軽すぎても不安定なので、手に持ったときに丁度良い重さが感じられるようにしているのがポイントですね。

大事にお手入れして使い続ければ、経年変化により、
良い味わいが出てくるので、使って育てる楽しさがある。

どういうお手入れの仕方をすれば良いですか?

利訓さんコーヒーを楽しむお客様の時間がより豊かになるお手伝いができればと思っております。長く器を使用していただくためのお手入れ方法ですが、陶器は呼吸しているので使った後は普通に洗剤で洗ったり、水よりもお湯を使うと臭いや汚れが落ちやすいです。洗った後は水をよく切ってください。陶器は大事に使っていると、経年変化と言って風合いが変わってきます。大切に使えば使うほど、良い味わいが出てくるので長く楽しめると思います。

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親子として、窯元として

こうしてギャラリーに並んでいると、購入後も飾って
しまいたくなる気持ちになるが、飾らずに毎日使って欲しい。

互いに刺激を受け、
新しい挑戦をしていきたい。

11月の個展では、お客様とどんなお話をされましたか?

利浩さん2015年11月に東京のホテルニューオータニで開催した個展では、たくさんの良い出会いがありました。普段作陶(さくとう)している時間が多い私としては、お客様との交流が良い刺激になります。お客様にはどんなものでも、日常に毎日使ってくださいとお伝えしました。陶器(土物)は育てるものと言われているように、水分や脂分を吸収しやすく常に呼吸しています。そのため、使った後は大事にお手入れして長く使っていただくことで、作り手の愛情や風合いの変化を楽しんで欲しいですね。作品は良さを引き出してくれる使い手によって初めて育ちます。

陶器のカフェオレボウル。香炉のようにこれまでは作らなかった作品にも
挑戦していきたいという利訓さん。5月の個展を楽しみにしたい。

利訓さんが最近取り組んでいる
挑戦を教えてください。

利訓さんコーヒーカップやマグカップで香りの話がありましたが、香りは人間の感覚の中でストレートに入ってくるもののひとつです。そこで、これまでうちに無かった作品に挑戦してみようと思い、2016年5月に東京のホテルニューオータニの寛土里で開催する私の個展に向けて「香炉」などの製作にも取り組んでいます。

禾目瑠璃天目茶碗(のぎめるりてんもくじゃわん)。器の中に走る細かい
縦筋が禾目。11月の個展では、これまでに無い新しい禾目の作品に出会える
かも知れない。

利浩さんは、利訓さんに
どう成長して欲しいとお考えですか?

利浩さん型にはめるのではなく、息子は息子なりに育っていくものだと考えています。私は自分で長年培ってきたものが一番良いと思っていますが、伝統に縛られすぎているなどのマイナス面も抱えています。そこに新しい風を入れるためには息子のアドバイスも必要です。息子が香炉など新しい挑戦をすることで、なるほどと思うこともあり、良い刺激になっています。2016年は私が作陶40年目にあたり、11月に日本橋高島屋で個展を開く予定ですが、息子からも刺激を受けつつ、禾目(のぎめ※)をはじめ、昔会津で造られた巴茶碗(ともえちゃわん)にも挑戦していきます。

※中国福建省にある建窯で造られた天目茶碗に、黒い鉄釉を掛けて焼成し、焼きと冷ましの条件が整ったときに茶色や銀色の細かい縦筋が現れます。日本ではこれを稲の穂先の禾(のぎ)に見立てて禾目と言います。

左が利浩さん、右が利訓さんの作品。親子で刺激を与え合いながら、
新しさと共に自分らしさを追求し続ける。

利訓さんは、どう成長したいとお考えですか?

利訓さん私は一年半ほどですが、出雲の窯元さんのところで修業をしました。家を出て他で陶器を作り、視野を広げる意味もありましたが、一番良かったと思えることは、家に帰ってきたときに、これまでは父と捉えていた人を、一人の陶芸家として捉えられるようになったことです。私も会津本郷焼 宗像窯の九代目として父の背中を見ながら、自分らしい作品づくりや新たな挑戦を続けていきたいと思っています。

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器の販売は終了しました。ご支援いただき、ありがとうございました!

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